海洋プラスチック問題を解決することで、持続可能な社会をつくる ~ごみ輸送量計測ソフトウェア「RIAD」~
こんにちは。note編集部の大林です。
ペットボトルやビニール袋など、私たちの生活に欠かせないプラスチックですが、日本でもビニール袋の有料化が始まるなど、海洋プラスチック問題は世界が抱える大きな社会課題となっています。
SDGs14「海の豊かさを守ろう」の指標でも「浮遊プラスチックごみの密度」が掲げられています。また、2019年6月に開催されたG20大阪サミットにおいて、日本は2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が共有されました。
当社は、このような社会課題を解決するためのシステムとして、
「RIAD(River Image Analysis for Debris transport)」を開発しました。
今回は開発担当の吉田さんにインタビューを行いました!
開発担当者
「ごみ輸送量計測ソフトウェアRIAD」とは?
大林:「RIAD」とはどのようなシステムなのでしょうか?
吉田:海洋ごみの大部分は陸域から河川経由で海まで流出しており、プラスチックごみ問題に対応するためには、河川の浮遊ごみ(川ごみ)の実態を把握することが必要です。「RIAD」はこの河川の浮遊ごみの輸送量をモニタリングするシステムになります。東京理科大学の二瓶教授と愛媛大学の片岡准教授が開発され、yecで製品化しました。
従来の川ごみ輸送量の測定方法は、人的な直接的サンプリングですが、安全面や作業負担、コスト面、また川ごみは出水時に多く流出するため、急な対応が難しいなどの課題がありました。RIADは、川ごみの多くが水表面を浮遊することに着目し、市販のデジタルビデオカメラを用いて河川表面を垂直に撮影し、浮遊ごみを計測できます。ネットワークカメラを用いればリモートでのモニタリングも可能となります。
「RIAD」の開発経緯
大林:なぜ「RIAD」の開発に至ったのでしょうか?
吉田:入社後、大学での研究成果を社会実装するためには、自身で切り拓く必要があると感じていました。その想いが強くなり、大学の博士後期課程にて世界的に課題解決が求められているプラスチックの研究を開始し、その中でRIADを用いた解析の取り組みを始めました。「散乱ごみや不法投棄が無い地域の創出」という自分に課した使命を胸に、実態に即したシステムにするよう開発を続けています。
「RIAD」の特徴
特徴①安全で確実・長期連続観測
既往の直接サンプリングと比べ、安全性や確実性が大幅に向上します。
ネットワークカメラや太陽光パネル、バッテリーの使用で観測の無人化・自動化・長期連続観測が可能であり、急な現地調査対応が求められる出水時の観測が容易にできます。
特徴②時間変化、自然・人工系ごみの判別の把握
既往の直接サンプリングでは、詳細な調査実施には限界がありました。
RIADの場合、動画データを用いるため、細かい時間別に解析が可能です。
またシステム上で自然系と人工系ごみを判定できるのも特長のひとつです。
特徴③煩雑なセットアップや作業が不要
クラウドサービスなので、煩雑なセットアップや作業が不要です。動画データがあれば判別可能です。
最近の取り組み
大林:「RIAD」を活用した最近の取り組みについて教えてください。
吉田:近年、国内外にてRIADの実績が少しずつ増えてきました。RIADは、環境省から令和3年度6月に公開された「河川ごみ調査参考資料集」にも掲載されており、今後も幅広く活用いただきたいと考えております。
なお、昨年度に引き続き、今年度も浜松市のORI-Projectに採択されまして、RIADを用いて人工系ごみ輸送量を把握するとともに、地域特性の関係性について検討していきたいと考えています。また、得られたデータを活用し、市民・企業・行政が連環し、共助による効果的なごみ削減活動の具体化を目指しています。
さいごに
吉田:散乱ごみや不法投棄のない地域の創出を目指していくためには、共助が必要不可欠ですが、まずは私たちが行動し「新しい解」を少しずつ見出し、継続していくことが大事だと考えています。
私たちの想いを実現できる「きっかけ」が徐々に増えてきました。今後はより社会実装に向けて取り組むとともに、多くの地域へ展開できるように推進していきます。
TOKYO MX「ええじゃない課Biz」RIAD紹介動画
「RIAD」に関するお問い合わせ
<詳細>
https://www.yachiyo-eng.co.jp/government/pickup/RIAD/
<連絡先>
八千代エンジニヤリング株式会社 RIADシステム開発係
riad-system-support@yachiyo-eng.co.jp