既存の施設の利活用!バイオマスで脱炭素社会を!~グリーン電力証書で地産地消の再生可能エネルギーを促進~
こんにちは!note編集部の大林です。
当社は、再生可能エネルギー分野への事業展開を行っており、未利用の環境価値をグリーン電力証書化する取り組みをスタートしています。
ごみのバイオマス発電により生み出された環境価値をグリーン電力証書化する取組みは、当社が現在、国内1位(量換算/2022年9月現在)です。
今回は当社が事業を始めた経緯やこの事業によって解決できる社会課題について、開発担当者にインタビューを行いました!
開発担当者
グリーン電力証書・証書発行事業者資格とは?
グリーン電力証書は、自然エネルギーにより発電された電気のもつ環境価値を証書化し、売買取引を可能にするものです。グリーン電力証書は、日本品質保証機構より認証を受けた証書発行事業者資格のある事業者しか発行できません。当社は2021年に証書発行事業者資格を取得しました。
グリーン電力証書を購入した事業者は、自社が消費する電力のうち、証書相当分の電力について、再生可能エネルギーを調達したとみなすことができます。また、グリーン電力証書は、資源エネルギー庁および環境省が運営するグリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度により、地球温暖化対策推進法に基づく算定・報告・公表制度における国内認証排出削減量として計上できます。この他GHGプロトコルScope2ガイダンスに準拠しているため、CDP、SBT、RE100などの国際イニシアチブでの利用も認められています。
なぜ八千代エンジニヤリングがグリーン電力事業を始めたの?
大林:当社がエネルギー事業展開を行っている理由を伺いたいのですが、まずは背景から教えてください!
喜多川:日本は菅元首相が「我が国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボン・ニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言して以来、企業や自治体が温室効果ガス削減の取り組みを急速に進めています。温室効果ガス削減には、省エネの実施、再生可能エネルギーの導入などがありますが、それらに並ぶ取り組みが「環境価値の調達」(カーボン・オフセット)です。
大林:最近「カーボン・オフセット」という言葉をよく聞きます!具体的にどのような取り組みのことでしょうか?
喜多川:カーボン・オフセットとは、目標とする排出量削減に向けて、他の事業者が生み出した排出削減相当量(つまり環境価値)をクレジットとして買い取り、自社の削減量とする仕組みです。このように環境価値に経済活動が伴うことで、環境価値を生み出す事業者が収益を得ることができ、再生可能エネルギー関連の事業が活性化していきます。
大林:なるほど!この取組みに対して、建設コンサルタントである当社はどのような役割を担うことができるのでしょうか?
喜多川:当社は、総合建設コンサルタントとして、長らく自治体のごみ焼却施設の計画・設計・運営に携わってきており、ごみ焼却の仕組みについて詳しい知見があります。一方で、人口減少や地方財政の厳しさも実感しており、ごみ焼却施設を活用して自治体がゼロカーボンに取り組むことで、すこしでも収益を得ることができ、市民に還元できる取り組みをしたいと考え、この取り組みに挑戦をすることにしました。
事業内容紹介~ごみ由来のバイオマスから環境価値を~
大林:当社はごみ焼却施設に着目した事業展開をしていると聞いたのですが、なぜ「ごみ焼却施設」なのでしょうか?
喜多川:これまでもごみ焼却施設は、単に不要なごみを焼却するだけでなく、それを活用した温熱エネルギーを生み出すことにより資源の利活用(温水プールなど)を行ってきました。今回の仕組みは食品や紙など自然由来のごみを燃やして生み出した再生可能エネルギー電力を、環境価値クレジット「グリーン電力証書」に変えて企業に販売し、企業の温室効果ガス削減を支援すると同時に、これまで見逃されてきたごみ由来のバイオマスから生み出された環境価値を販売し収益化することで、ごみ焼却施設の維持運営に寄与できると考えました。
大林:ごみ焼却施設も価値を購入する企業も双方にメリットのある仕組みなのですね!
喜多川:「資源の利活用」と「持続可能なエネルギーによるカーボンオフセット(脱酸素への貢献)」が同時に解決できるということが最大のポイントです!この取組みは全国的にほとんど事例が無いなかで、事業化に成功しました。
大林:当社が支援する佐賀市清掃工場や鶴岡市クリーンセンターではどれくらいの効果があるのでしょうか?
喜多川:佐賀市清掃工場でのグリーン電力証書の発行規模は年間5,500MWh相当(一般家庭約1,000世帯分を脱炭素化できる量)を見込んでいます。
また鶴岡市クリーンセンターでは、この仕組みによって年間で1700トン相当のCO2削減効果があります。日本の温室効果ガスの総排出量は、約12億4000万トンなので、この数字からみるとほんのわずかかもしれませんが、日本のごみ処理施設は1000施設以上あり、こうした積み重ねが脱炭素社会の実現になるのではないかと考えています。
今後の展開
大林:今後の展開について、教えてください。
喜多川:今後はまず全国のごみ処理施設上に展開を図っていきたいと考えています。今までは主に大企業が取り組んできたカーボン・ニュートラルの施策ですが、日本のカーボン・ニュートラルの達成のためには中小企業、そして地場の企業の取り組みも今後不可欠になります。そのため、こういった各自治体でカーボン・オフセットの仕組みができ、地元企業が地元の再生可能エネルギーの購入を行うことで、再生可能エネルギーの地産地消が促進できると考えます。
また、当社は環境価値取引だけでなく、再生可能エネルギー発電施設の運営、地中熱などを利用した新しい省エネ、熱供給、地域新電力など、ゼロカーボンに必要な取り組みを総合的に支援しているので、多方面からエネルギーに関わる社会課題の解決に貢献したいと思います。
実績紹介
喜多川さん、ありがとうございました。
当社はこれまで、企業や自治体による再生可能エネルギー発電所の開発、地域新電力による小売電気事業の設立支援などを通して、ゼロカーボンに向けた取り組みを積極的に推進してきました。
今後も証書発行事業者として環境価値取引の側面からもエネルギー課題の解決に引き続き幅広く貢献していきます!