サステナビリティコンサルタントの仕事とは?直撃インタビュー【後編】
こんにちは!note編集部の鈴木です。
近年、サステナビリティに関する基本的なことから、サステナビリティの重要テーマ、コンサルタントの需要や将来性について前編でお伝えしました。
地球温暖化など自然環境の問題が深刻化し、企業活動において環境への配慮が必須となっています。
また、企業はサステナビリティに関する情報開示が求められ、社内で対応する専門人材が不足していたり、専門知識が求められる領域が広がり続けています。
さらに、消費者や投資家のサステナビリティに対する意識の高まりもあり、気候変動・水リスク・生物多様性といった分野を専門とするコンサルタントの需要が高まっています。
詳しくは前編をご覧ください☟
この後編では、引き続きサステナビリティコンサルタントとしての仕事内容や魅力、業界のトレンドなど、詳しくお話を伺いました。
「サステナビリティNavi」について
ーまずはサステナビリティNaviについて簡単にご説明いただけますか。
佐藤さん:当社の「サステナビリティNavi」では、前半で説明したサステナビリティのテーマをコンサルティングサービスとして提供しています。GHG 排出量算定やSBT設定、TCFD に沿ったシナリオ分析、CDP 回答作成支援などの各種サービスを提供し、低炭素社会の実現や柔軟で持続可能な企業活動を支援しています!
サステナビリティNaviチームの業務内容
ーサステナビリティNaviチームの業務の1日を教えてください。
佐藤さん:サステナビリティNaviはチームごとにお客さまのサポートをしています。日々の業務は多岐にわたりますが、例えば月曜日は、毎週午前中にプロジェクトリーダー会(以下、PL会)とチームMTGを開催しています。
PL会というのは、各チームのリーダーと部課長が集まり、業務の受注状況や各チームの1週間の予定、連絡事項などの共有を行います。
チームMTGでは、PL会で共有された連絡事項の共有、各メンバーの一週間の予定の共有(必要に応じて担当業務の調整を実施)、業務内外の課題や困りごとの共有・議論などを行っています。
午後には、担当している業務で直面している課題や今後の方針について、担当メンバー間で協議を行ったり、オンラインでお客さまに業務の経過報告を行ったりしています。これらの合間に、各業務で自分が担当している項目の検討を進めています。
サステナビリティNaviチームの雰囲気
ーサステナビリティNaviのコンサルタントチームを統括されている竹内さんにお伺いします。チームはどんな雰囲気ですか?
竹内さん:当チームは若手メンバーで構成されており、全員がサステナビリティへの深い関心を持ち、さまざまな企業の課題解決に積極的に取り組んでいます。動きの速い情報が多い中でコンサルタントスキルを身につけていくことも必要で、それぞれ感心するほど勉強熱心。新しい観点で業務を開発することも仕事ですからみんな真剣です。
またショートミーティングなどで蓄積・経験したノウハウをワイワイ共有し合いながら、次の業務のサポートをお互いにし合うことも日常の姿です。1年過ぎる毎にそれぞれが成長している姿を確認するのは楽しみです。
残業はそれほど多くはなく、休日になるとそれぞれのライフワークや趣味・プライベートなどで充実していると思います。
サステナビリティNaviの強み
ーずばりサステナビリティNaviの強みってなんでしょうか?
佐藤さん:当社の最大の強みは、60年以上にわたる建設コンサルタントとしての豊富な経験と知識を活かし、自然科学に基づいたコンサルティングサービスを提供できることです。
業務を担当するメンバーの経験・知見が不足していたとしても、社内には例えば治水計画の専門家がいたり、生物調査の専門家がいたりするので、そういった社員の力添えをいただいて質の高いサービスを提供することができると考えています。
八千代エンジニヤリングとサステナビリティコンサルタント
当社に入社、転職した理由
ーそれでは続いて、八千代エンジニヤリングに入社した理由を聞いていきたいと思います。
佐藤さん:私は大学で水文学という学問を専攻していたのですが、仕事において自分の専攻が活かせることが決め手でした。
また、入社を決める前にとある自治体の水資源マネジメントを紹介している書籍を読んだのですが、そのマネジメントの構築に八千代エンジニヤリングが大きく関わっていたことを知り、縁を感じたのも入社を決めた大きな要因です。
ー中野さんはいかがでしょうか?
中野さん:「専門的な知識と経験を活かして環境問題の解決に貢献する」ということが私自身の実現したいことでした。そこで技術力に強みのある建設コンサルタントの民間企業向けサステナビリティコンサルティング事業がマッチすると思いました。
そのようなことを踏まえて、技術力を強みとし環境課題の解決を行っている八千代エンジニヤリングに転職することを決めました。環境に関する情報開示や目標設定の支援だけでなく、実際の取り組みまで、企業の方と一緒に取り組んでいきたいと考えています。
サステナビリティコンサルタントの仕事の魅力
ーコンサルタントとしての仕事のやりがいや魅力について教えてください。
柳沢さん:水をはじめとする自然資本や生物多様性の保全、脱炭素に関する情報収集や評価・分析、目標設定、情報開示など、幅広いフェーズで企業の取り組みを支援しています。
サステナビリティの分野はテーマが幅広く、グローバルでの動きも活発でニーズの移り変わりも早いため、需要に合ったサービス開発や日々の情報収集、ガイダンスの読み込みなど勉強が欠かせません。
同じサービスでも企業の状況によって検討内容をアレンジする必要があったりと大変なことも多いですが、自分たちの検討結果が企業のホームページやレポートに掲載されたり、企業さまから外部評価の向上につながったとの声を頂くこともあり、やりがいも大きい仕事だと感じています。
加藤さん:現在は主に、水リスクや生物多様性に関する業務に携わっています。具体的には、企業の方針・戦略策定の支援として、水リスク評価結果と事業への影響度を考慮した戦略策定や、企業の情報開示支援などを担当しています。
企業の規模や業種、事業拠点の所在地など、環境への影響や取り組みの優先順位が企業ごとに異なります。限られたリソースの中で、課題の解決や目的の達成を行う難しさがありますが、企業の環境リスク軽減およびブランド価値の向上を通じて企業の成長と持続可能性を促進できることは大きなやりがいであると感じています。
サステナビリティ関連の最近のトピック3選
ーそれではここから佐藤さんに最近のトピックをうかがっていきたいと思います。3つほどあげていただけると助かります!
トピック①:SBTs for Nature、海洋分野の目標のドラフトの公開
佐藤さん:1つ目は、SBTs for Natureにおける海洋(Ocean)分野の目標のドラフトが公開された点です。
SBTs for Natureとは、GHG排出量を対象とした従来のSBTを自然全般に拡張したもので、淡水(Freshwater)分野と土地(Land)分野の目標設定に向けた方法論が2023年5月に公開されています。
先日、海洋分野の進捗状況を共有する公開ウェビナーが行われ、ドラフト版ではあるものの、「乱獲を避ける目標」と「海洋生息地を保護する目標」の2つが検討されていることが分かりました。CDPにおいても、いずれ海洋分野が追加されることが想定されますが、両者の整合性が気になるところです。
トピック②:都市のためのSBTs for Natureの推進計画発表
佐藤さん:2つ目は、都市のためのSBTs for Natureの推進計画が発表されたことです(※5)。
1つ目のトピックで挙げたものはあくまで企業を対象としたものですが、こちらは都市を対象としたもので、地方自治体が土地や水を管理し、生物多様性を保全し、気候レジリエンスを高めるのに役立つ取り組みとされています。
この推進計画によると、2025年春には初期ガイダンスが公開予定とのことで、自治体にもネイチャー・ポジティブ実現に向けた取り組みの推進が求められ始めていると言えます。
トピック③:米国、気候関連情報開示ルールを最終決定
佐藤さん:3つ目は、米国で気候関連情報開示ルールが最終決定されたことです。
このルールは米証券取引委員会(SEC)が採択した気候関連情報開示規則に定められており、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)のフレームワークを踏襲したものとなっています。最終化にあたり、スコープ3のGHG排出量の開示義務が撤回されたり、開示義務対象企業が全ての上場企業ではなくなったりと、若干の緩和が行われました。国ごとにルールの違いはあれど、今後ますます気候関連の情報開示の義務化が広がっていくと思われます。
農林中央金庫との業務提携について
ー3月22日のリリースで、当社はサステナビリティコンサルティングの業務において農林中央金庫との業務提携を発表しました。どういう経緯で今回の提携に至ったのでしょうか?
吉田さん:元々は、「サステナビリティNavi」が展示会に出展した際にお会いし、先方の顧客に対し自然資本関連の支援をできるコンサルティング会社を探していたことから、ビジネスマッチング契約を結びました。
また、同時にお互いのビジョンや強み、サービス内容などを共有していく中で、先方から自然資本に関して包括的なアライアンスを結び、企業さまに対し多面的なサービスを提供・開発する今回の業務提携に至りました。
ー今回の提携に関して、当社の総合建設コンサルタントとして強みをもつ専門性と技術力が期待されているかと思いますが、具体的にはどういったポイントでクライアントのお役に立てそうでしょうか?
吉田さん:近年、気候変動だけでなく、自然資本・生物多様性というテーマが世界全体で着目されており、企業はその対応を迫られています。気候変動問題は、GHG排出量を把握し、目標を立て、削減していく必要がありますが、場所の評価やどのような事業を行っているかは着目する必要はありません。
一方で、自然は企業がどのように自然環境と接しているのか、どこで操業あるいは活動しているのかが重要になります。例えば、水資源も重要な自然資本ですが、水資源の量や質は流域によって異なりますし、食品メーカーと自動車メーカーでは自然に与えるインパクトの種類や依存する生態系サービスも異なっています。このあたりを適切に評価するという点では、総合建設コンサルタントとしての専門性や技術力が活かせると考えています。
また、企業にとってのリスクや機会も把握し、開示していくことが求められますが、それらのリスクや機会にどのように対応していくのか、戦略やアクションも重要です。
当社には環境に関する高い技術力を持つ専門家が数多く在籍しており、これまでにも生物多様性に関する調査や企業の森林保全活動の推進・活動効果の定量化など、具体的なアクションを行ってきています。このため、評価分析だけでなく、戦略、アクションまで一気通貫でご支援ができることが強みだと認識しています。
サステナビリティNaviのコンサルタントに興味がある方へ
当社ではサステナビリティNaviのコンサルタントを募集しています!
企業が抱えるサステナビリティに関する課題を解決することで、持続可能な社会に寄与していきたいという方。
今回の記事を読んで興味が湧いた方。
少しでもピンとくるものがあれば、ぜひ一度カジュアルにお話してみませんか?
後編に登場した主なコンサルタントの紹介
2009年中途入社
大学では建設工学を専攻。
入社後、国交省など官公庁向けのコンサルタント業務に従事。
現在は、民間企業に対する自然資本や水リスクに関するコンサルティング業務部門を統括。
専門分野は河川工学。
水循環検討業務・河川環境業務などで国交省表彰6度受賞。
<保有資格>
• 技術士(建設、河川砂防及び海岸・海洋)
• RCCM建設環境
•測量士
2008年新卒入社
大学院では地質学を専攻。
入社後、国交省など官公庁向けのコンサルティング業務に従事。
現在は、民間企業向けサステナビリティコンサルティング事業の統括を行う。
民間向けサステナビリティコンサルティング事業では、水資源に関する戦略策定、リスク調査を中心にチームをリードするほか、気候変動、生物多様性、資源循環業務についても豊富な経験を有する。
<保有資格>
技術士(応用理学、建設、総合技術監理)
AWS Professional Specialist
経営学修士(MBA)
<学会・受賞歴など>
日本地下水学会 理事
内閣官房企業の健全な水循環の取組に関する有識者会議 委員
2017年新卒入社
大学院では水文学を専攻。
入社後、地方自治体の水資源保全計画の策定のコンサルティングに従事。
現在は、TNFDやSBTNの他、水リスク評価、水目標設定、環境方針策定、GHG算定などの支援を中心に、チームをリード。
SBTN開発プログラムやTNFDフォーラムに弊社の代表として参加。
【参照ページ一覧】
※5.サステナブル・ブランド ジャパン:都市のための自然SBTs 2025年に初期ガイダンス公開へ