見出し画像

<エネルギー特集②>カーボンオフセットと環境価値クレジット

こんにちは!エネルギー課の久保田です。
私たちは、環境価値事業、新電力事業、発電事業の3本柱で事業を行っています。
連載第2回のこの記事では「カーボンオフセット」について、解説していきます。第1回の記事は以下からご覧ください。

プロフィール

久保田さん(エネルギー分野の担当)
業務内容:グリーン電力証書、地域新電力など
経歴:
エネルギーベンチャーにて法人営業担当
2024年4月 八千代エンジニヤリング入社、事業開発本部エネルギー課に配属

1.環境価値とは

再生可能エネルギーによる電力には、電力そのものの価値と環境価値に分けることができます。

そもそも、再生可能エネルギーは二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーであるため、この環境価値を分離させてクレジット・証書化したものが環境価値と呼ばれています。化石燃料由来の発電方法であっても環境価値利用分については、再生可能エネルギーによるクリーンな電力とみなすことができます。

図:環境価値とは

 
環境価値を購入するのは、小売電力事業者や民間企業(需要家)がほとんどです。なぜわざわざ費用をかけて環境価値の購入をするのでしょうか。それは環境イニシアチブや国内法に基づく申請に使用するためです。使用する環境価値によって特性があります。国内で主要な3つのクレジット・証書について次章で説明します。

2. J-クレジット、非化石証書、グリーン電力証書比較

主要な3つの環境価値についてご紹介します。

J-クレジットは、経済産業省・環境省・農林水産省が運営主体の国による認証制度です。特徴は、取引単位がt-CO₂であること、再エネ発電・再エネ熱・省エネ・森林の4つの認証が可能であることが挙げられます。

非化石証書は、低炭素投資促進機構(GIO)が運営主体の認証制度です。特徴は、日本卸電力市場(JEPX)で年4回オークションが行われること、再エネでできるFIT非化石と、卒FIT・大型水力・原子力・ごみ発電(廃プラ)でできる非FIT非化石証書の2種類があることが挙げられます。

グリーン電力証書は、一般社団法人日本品質保証機構(JQA)が運営主体の認証制度です。特徴は、グリーン電力マークを利用できることなどがあります。

表:グリーン電力証書、J-クレジット、非化石証書の比較表

※1 非化石証書は電力取引とセットでの取引となる場合
※2 RE100の適応にはトラッキング付である必要があります。

3. さいごに

環境価値は、クレジット・証書を組み合わせて使用することをおすすめします。現在は非化石証書価格が安く、調達のメインとされている企業が多いです。2030年に近づくにつれ、市場取引の非化石証書は価格上昇が考えられます。相対取引のできるJ-クレジットやグリーン電力証書をあらかじめ抑えておくことで将来の価格リスクを抑えられる可能性があります。

将来の脱炭素化に向けて、今から環境価値の利用を考えていただければ幸いです。
 
今後もエネルギーに関する話題を掲載していきます。さらに詳しく知りたい方は以下をご覧ください。