〈エネルギー特集③〉2024年最新!FIT非化石証書入札結果解説
こんにちは!エネルギー課の久保田です。
私たちは、環境価値事業、新電力事業、発電事業の3本柱で事業を行っています。
こちらでは、エネルギー環境に関わるキーワードを中心にご紹介していきます。
連載3回目となる今回は、「非化石証書」にフォーカスしたいと思います。非化石価値取引の概要から知りたい方は、エネルギー特集②カーボンオフセットと環境価値クレジットをご覧ください。
1. 環境価値取引、2024年度からの制度変更
非化石価値取引は、2024年度より制度改正されました。変更内容は3項目あります。
①年会費の変更
日本卸電力取引所(JEPX)で取引するためには、会員になる必要があります。2023年までは年会費12万円でしたが、今年度からは5倍の60万円になりました。この制度変更により、現在493社の会員数の変動が予想されます。
②全量トラッキング
FIT非化石証書、非FIT非化石証書ともに、全量トラッキングが行われることになりました。今まで指定せず購入した人に対して、ランダムに割り当てられます。
③入札方法・約定ルール
トラッキングを指定するために、選択項目が増えることになります。
購入希望者は入札時に価格、数量、希望するトラッキング属性を以下から選択する。トラッキング属性は、設置都道府県・発電種別・RE100の3種類
トラッキング属性の希望がない場合は、ランダムに設備情報が付与される
同一のトラッキング属性希望があった場合、入札価格の高い順に希望量を付与する
2. 2024年度第1回オークション結果
非化石証書のオークションは、年に4回実施されています。以下のグラフは、各年度の初回約定率の推移をまとめています。
2021年度は第1回が行われていないため、第2回の数値で作成しています。
2021年度3.4%であった約定率は、年度を重ねるごとに上昇が続いており、今年度の初回では、47.8%まで上昇しています。2030年の温室効果ガス削減目標達成に向けて、企業意識の高まりが影響していると考えられます。
約定価格は、最低入札価格が、2022年度までは0.3円/kWh、2023年度からは0.4円/kWhとなっています。約定価格をみていくと、ほぼ最低価格での約定で推移していることがわかります。
3. 2030年までの落札率予測と調達傾向
図2はFIT非化石証書の再エネ価値取引市場が始まってからの3年間の落札率をもとに、2030年までの落札率を誤差範囲つきで当社にてシミュレーションしたものです。
実績値に基づく数値で進捗した場合、2027年には約100%の落札率に到達します。このことから、早ければ2026年度から現状の価格でFIT非化石証書を調達できなくなる可能性が高いと考えられるでしょう。
各社、CO₂排出量削減を行ったあと、最終的に不足分を補うのは環境価値取引です。現在安価に調達できているFIT非化石証書ですが、今後約定率と調達価格が上昇することはほぼ確実です。
J-クレジットやグリーン電力証書での相対契約を締結し、固定価格で長期間調達をあらかじめ確保する方法もあります。
4. さいごに
現在、FIT非化石証書は最も安価に調達できる点で優れています。
ですが、量に限りがある点、約定率が上がっている点を考えると、近い将来調達価格が上昇することはほぼ確実です。
また2030年が近づくにつれて、今まで環境価値取引に参加していなかった企業の調達が増えてきます。調達傾向を考慮して、早めに調達の段取りを行うことが重要です。
当社では、市場価格の影響を受けないグリーン電力証書事業を行っています。調達のご相談や、見積りなど、お気軽にご相談ください。
またこちらの記事の詳細版は以下をご覧ください。
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